入塾して今年5年目を迎える中学生男子。

彼はこの日、苦しんでいました。

 

 

ヒック

 

ヒック

 

ヒック

 

 

…そう。

授業中に「しゃっくり」が止まらないのです。

 

「水を飲む」という方法に思い当たった私は

飲み物を持ってきていないか尋ねるも

 

「ありません。ヒック」

 

…これはつらい。

どうしよう。

絶望に覆われかけたそのとき。

 

「いい方法を教えてあげましょうか」

 

その声は…半澤先生！

 

「はい！教えてください」と彼。

 

「両方の耳の穴に指を入れて

耳の奥を押さえるんだよ」

 

「こ…こうですか？」

 

しばらくそうして指を離すと…あら不思議！

しゃっくりがぴたりと止まったではありませんか！

 

「どう？今までの治し方で

これがベストでしょう？」

 

「はい！」

満面の笑顔を見せる彼の瞳は、

きらきらと輝いていました。

瞳の中に星が見えました。

 

 

いや、ほんとに今まで見たことないような輝き具合。

女神の神託を受けた信者のよう。

 

無事、しゃっくりから解放されて

ほっとひと息。

めでたしめでたし。

 

 

 

（平校／新妻武志　No.369）